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SDGsスペシャル対談/アーティストユナクが発信するSDGsとは何か…

2023年5月20日(土)・21日(日)に有楽町『I’M A SHOW』で開催されるBLUE EARTH MUSIC LIVE IN TOKYO。

本ライブはエンターテイメントを通じてSDGsの実践と啓蒙メッセージを発信するプロジェクトの東京第一弾ライブ。この二夜限りのスペシャルライブを務めるのがSUPERNOVA(超新星)のリーダーであるユナク/ YOONHAK。今回、米米CLUBの金子隆博の全面協力を受け、ミュージカルソングを中心とした選曲で、今までにないスタイリッシュでクールなステージが披露される。

ユナク自身、世界規模で起こる気候変動や飢餓、貧困や紛争、様々な差別といった未曾有の課題に大きな危機感を抱いており、このライブを通してファンや足を運んでくれた方々にメッセージを届けたいとしており、LIVE会場のロビーではSDGsの意義や重要性、今できる地球温暖化対策など、ユナク自身の言葉で語られたVTRメッセージを視聴することができる。

また、当日は地球温暖化の影響を受けながらもこだわりの日本酒を醸造する4箇所の蔵元や干ばつやパンデミックの被害の中、良質のワインを製造するナパ・ヴァレーの紹介・試飲も行われる。さらに、来場者特典としてユナク直筆のメッセージカード、環境に配慮しガラス製のオリジナルグラスも配られる。こちらのオリジナルグラスにはユナク自身がSDGsをイメージして描いたオリジナルイラストがプリントされている。

このライブを前にメインアーティストを務めるユナク、そして全国の実力のある蔵元の酒を扱っている掛田商店の掛田薫さん、カルフォルニアワインの銘醸地ナパ・ヴァレーの非営利生産者団体NVV駐日代表である小枝絵麻さんの3名によるSDGsスペシャル対談の様子をレポートする。

ひとりひとりがSDGsに対する興味を持ち、そして行動することが大切。

・・・韓国と日本で暮らした経験からみえる両国のSDGsに対する取り組みの違いをどのように感じていますか?

ユナク:今、韓国における深刻な環境問題はプラスチックについてです。韓国はプラスチックの扱い方が非常に厳しくなっているのですが、特に飲食店などあらゆる場所でプラスチック製品を使用することが出来なくなってきています。ですが、日本はまだまだプラスチック製品を使用しているところがあるように思います。また日本に来て驚いたのは、生ゴミと一般ゴミを一緒に処分することが不思議でした。リサイクルという観点からみた時に、これらのゴミはどのように処理されていくのだろうと思うことがありました。こうした点は韓国と日本の違いだと思います。

・・・気候変動も大きな問題となっていますが、韓国ではどのような問題が起きていますか?

ユナク:ここ数年、韓国でも急にスコールのような大雨が降ってきたり、台風が頻繁に上陸するなど東南アジアに似た気候になってきているように思います。僕自身、数年前までは環境問題を意識していませんでしたが、ここ数年は真剣に考えることが多くなりました。少しでもこの気候変動を抑えられるように行動や発信をすることで、若者を中心に意識を高めていけたらと思っています。

身近な環境問題をそのままにせず、意識を変えて取り組むことが地球の未来を守る。

・・・ナパ・ヴァレーでは2017年と2020年に大きな火災が起きました。気候の変化によって起きる災害は暮らしにどのような影響がありましたか?

小枝:カルフォルニアでは近年、地球温暖化や干ばつによって引き起こされた火災が大きな災害へとつながってしまっています。ですが、そこから学ぶことも多いです。例えば芝生は緑が綺麗で美しいですよね。しかし火災が起きると燃え拡がる原因にもなります。芝刈りは機械を使って行うのが一般的ですが、CO2削減の観点から羊を飼うことで芝刈りをするようにしました。羊に芝を食べてもらうことでCO2の削減につながり、少しでも地球温暖化対策になればと思っています。また、土壌を豊かにするために肥料を使うのではなく「カバークロップ」と呼ばれる豆を育てることで自然の力を利用して、より良い土壌を育てる活動もしています。

・・・SDGsはアメリカにおいても重要な環境政策の一つとなっていると思いますが、人々の生活スタイルは変わりましたか?

小枝:まず牛肉を食べる量と回数が減っています。私たちがつくるワインで言えば「赤ワインには牛肉」といったイメージがあるかと思うのですが、食べる頻度を少なくして、代わりに高タンパクで栄養価の高い「豆」を食べる習慣が根付いてきています。飲食店はもちろん、スーパーなどでも大豆ミートが多く販売されています。ワインと環境に配慮した食のマリアージュも近年盛んに考えられるようなってきましたね。

ユナク:韓国でもビーガンは浸透してきていますね。自分自身の身体を大事にしようという考えの人が多くなり、動物の肉ではなく野菜中心の食生活がする人の割合が増えていると感じます。コロナ禍の中で犬や猫といったペットを飼う人が増えて、動物に対する考え方が変わったのも要因の一つだと思います。

・・・日本酒とワイン、文化的背景・製造工程など根底では共通する部分が多いと思いますが、地球温暖化はどのように影響していますか?

 掛田:地球温暖化の中でも日本酒づくりに一番影響しているのは「台風」です。一度台風が通過するとお米などの作物を壊していくので、原料調達という視点からみても大きな問題になっています。また、気温の上昇も問題です。日本酒の原料となるお米が高温にさらされるとお米が硬化したりと良好な酒米ができなくなってしまうんです。ここ数年の高温障害には特に悩まされているのですが、品種改良などを行うことで高温にも耐えられる稲をつくること、稲を栽培する地域を変えていくことで品質を保てるようにしています。気温の上昇は酒蔵にも影響が出ていて、最適な温度を保つために冷蔵庫内で酒造りをしているところが多くあります。環境のことを考え、北海道などへ酒蔵を移転された醸造所もあるのが現状なんです。自然な仕込みをするのに必要な温度の場所、安定して酒づくりをするために原材料が高温にさらされないように米の北限が変わりつつあります。

SDGsを達成するには多くの人の協力が必要。だからこそ『声』で地球を守ることの大切さを伝えたい。

・・・BLUE EARTH MUSIC LIVEはSDGsへのメッセージを発信するプロジェクトになります。今回のライブではどのような『想い』を込めていきたいですか?

ユナク:なぜ今このようなメッセージを発信するのか、なぜこうした取り組みが必要なのかという意味を知ってほしいと思います。環境を守るために小さなことでもいいので、まずは行動してみてほしいと思います。そうすることで興味が湧き、習慣となることでもっとSDGsに興味と関心をもってもらいたいです。

僕はアーティストなので、やはり「声」で『地球を守ること』への意識を拡げていきたいですし、責任感を持って活動の大切さを伝えていくことが大事だと思っています。

今回の2日間のライブではファンの皆様により深く伝えることができるんじゃないか、そして一緒に頑張っていきましょうと伝えたいですね。

写真右から、掛田商店 掛田薫さん、ユナク、カルフォルニアワイン銘醸地ナパ・ヴァレー非営利生産者団体NVV駐日代表 小枝絵麻さん

オリジナルグラスのイラストに込めた想い

今回のライブにおける来場者特典として配布されるオリジナルグラスには、ユナクの描いたSDGsをテーマとしたイラストがプリントされている。ブルーのグラスにはユナクのYをモチーフに、壊れかけた地球をイメージしたひび、太陽と月、行動してほしいという意味を込めた走る人が描かれ、自然も動物も文化も守っていかなければいけないというメッセージが込められている。

グリーンのグラスは「葉(グリーン)」をモチーフとし、空気を綺麗にしてくれる葉が笑っている姿は、自然と人が いつも幸せに安全に暮らしてほしいというメッセージが込められている。

オレンジ色のグラスは「木と鳥」がモチーフとして描かれている。鳥は木に住み、木に育てられている、でもこのイラストに描かれた鳥は厳しい表情をしている。これはユナクの目に映る、僕たちがこの地球を守っていかなくてはいけないんだという強いメッセージが込められたデザインとなっている。音楽だけでは伝えきれないメッセージをイラストという形で表現することで、多くのファンに想いを届けたいという願いが込められたオリジナルグラス。

ライブを鑑賞することでSDGsへの興味・関心を持つことができる、そしてひとりひとりの行動がかわることで一緒に新しい未来をつくっていく、今回のスペシャル対談ではSDGsについて日本酒とワインという環境と密接した視点とともにユナクの熱い想いを感じられる対談となった。

Writer & photographer:米川朋宏